やめろ。私に小型犬を近づけるな。【愛犬との思い出】
やめてくれ、カワイイのはわかったから
その犬を可及的速やかに隔離してくれ。
カワイイからってなんでも許されると思うなよ、そんな つぶらな瞳で見つめないでくれ。
そんなフワフワモコモコしたってダメだ
君たちは噛み付く寸前までカワイイ顔をして、いきなり僕の腕を喰いちぎるつもりだろう。
そして、骨になった僕を裏庭に隠すに違いない。
そんな猛獣にどうして手を差し伸べられようか
その殺人猛獣は俺を骨にして、裏庭に隠すつもりで近づいて来てるんだ、気づいて飼い主さん
。
殺意の波動に目覚めたチワワに鎖を巻いて。
どうしてそんなにシッポを振っているんだ
もしかして飛ぼうとしてるんじゃないか?
その勢いでシッポを回し続けて、飛ぶつもりなんだろ?
その証拠に、少し後ろ足が浮いてるじゃないか。これは生態系の危険が危ない。
そんなにヨダレを垂らして、俺の地球をどうするつもりだ?
どれ程おなかを減らしたらそんなにヨダレが出るんだ。え?体温を下げてる?
効率。
「ヨダレを垂らして体温を下げてます」
そんな理屈が社会で通用するか、そのシッポの回転をもう少し有効に使うとかあるだろう。
そんな事を言っているとウチの犬は逃げた。
かなりクレバーな少年だった俺は、愛犬とポケモンイエローをやったり、犬にノーモーションで話しかけたりする有能な一面を持っていた。
しかし、余りに頭が良すぎて犬とポケモンをやるのは効率が悪いと気づいてしまった俺は、ポケモンではなく万歩計ゲーム、ヨーカイザーをやり始めた。
ここで終わらないのが私という男で、効率的にヨーカイザーで妖怪を集める為に犬を家に置いて散歩にいくとうクリエィティブな荒技を敢行する事にした。
「ぜったいおせわするから!」
そんな純粋な言葉など、彼の頭にはもうない。
彼は既に政治家の素質を開花させていた。
とにかく選挙に勝てばいい、とにかく犬を飼ってしまえばこちらの勝ちだ。
その理論で彼は生徒会選挙で圧勝した。
犬は逃げた。
探しても探しても見つからなかった。
どうして俺はあの時、犬を置いたまま犬の散歩に行ったんだろう。
どうして世界から戦争がなくならないのだろう。
どうしてドナルド・トランプはそんなに楽しい名前をしてるんだろう。
いぬ、すき、かわいい
やられたらやり返す、噛んだら噛み返す、倍返しだ。
(27歳男性)